末永正子展2017/03/11 19:25

 3月11日。6年前の東日本大震災、福島第1原発事故に思いを致し、被害を受けたみなさまに改めて哀悼の意を表します。

 さて、本日、議会の際中ではありますが、土曜日ということで市立小樽美術館に「小樽・美術家の現在シリーズ 末永正子展」を観に行きました。
       小樽美術館玄関。最近は外国人観光客の姿も見られます。

   末永さんです。会場で来場者に丁寧に作品の解説をされていました。

 末永さんには私の大学時代の友人たちやお世話になっている画材店を通して紹介をいただいていましたが、この展覧会で作品を観せていただき、改めてその画業に向かう姿勢と作品のすばらしさに心を打たれました。
 
 私が感じたのは表現と色彩の瑞々しさです。きっと末永さんの感性がみずみずしいのでしょうね。黒とか無彩色を使いながらもその陰から除く淡い色彩が輝いて見えました。
 また、一見抽象的な表現の中に見える「景」と題された絵では小樽の風景がほのかに貌を現したりしています。その辺が観る側にも想像力を働く余地を与えてくれて楽しく鑑賞できるんです。

 大変僭越ですが、これだけの大作が一同に陳列されることで個人の絵画の成長の過程が美術史の歴史の変遷の再現をしているように感じられ、感銘を受けました。

 きっと具象から抽象へと進む過程を言葉ではなく、作品を通して直感的に感じることのできる、ある意味わかりやすくて楽しい展覧会です。是非子どもたちも鑑賞してほしいです。4月23日まで市立小樽美術館2階です。どうか足をお運びください。

文化遺産を生かしたまちづくりのためのワークショップNo.22017/03/11 20:21

 表記のワークショップに参加してきました。この催しは小樽市教育委員会主催で、小樽市が現在進めている文化財保護活用にむけた「小樽市歴史文化基本構想」の策定のとりくみの一環です。市民の声をその中に反映させるのがねらいです。ゆくゆくは小樽市が現在進めている日本遺産認定のためにもこの構想が重要な役割を果たしますし、まちの歴史的資産を市民が中心になって守り活用することで愛着や誇りを持つことで、まちづくりの核になるという視点もあるからです。単なる観光産業のひとつのコンテンツ、ネタにするということではないのですね。

 

 No.2とあるように、これまでにも先進例として福岡県太宰府市の先進例を紹介した講演会や小樽市の文化財、文化遺産といえば何がありますか、みなさんで発見しましょうというワークショップNo.1が開かれています。

 今回のテーマは「文化財をストーリーでとらえよう」ということだったと思います。ほんとのタイトルは〈「文化財群」という視点〉でしたが、群という空間的なとらえのお話より「ストーリー」という時間軸でのとらえだったように思います。

 

 最初に参加者全員による6年前の3.11東日本大震災で亡くなられた方々への黙祷。


 引き続き、基本構想策定委員会の委員長でもある札幌大学の川上淳教授のご講演がありました。


   川上先生の講義。具体的な御提言がありました。


ポイントや印象的な話を私的に整理すると、

  国の文化財保護法には「歴史上又は芸術上価値の高いもの、学術上価値の高い歴史資料」とあるが、これだけが大切じゃない。もっといろいろある!

  文化財に関わる要素には「文化財がおかれている環境、景観」「文化財を支える人々の活動」もはいる。

  文化財を歴史的・地域的に関連づけるのが「ストーリー」「物語性」。

  ストーリーを設定することでその地域固有の歴史、自然、文化をそこに住む人が自覚して広く伝え、魅力的なまちづくりに貢献できる。

  文化遺産は市民遺産。市民の思いを載せている。だから家にあるおじいさんのたばこ盆もひょっとして文化遺産。

  小樽の歴史文化ストーリーを考えよう。小樽の歴史の特徴は何か。どんな文化財があるか。形あるものばかりでないぞ。

  街並み・鉄道(労働運動なども含む)・港湾・運河(保存運動などの市民運動も全国的に知られている。)などをキーワードと組み合わせて小樽オリジナルのストーリーづくりを。

等々の話題提供や解説がありました。

 私も小樽の文化遺産は単なる観光コンテンツを増やすというのではなく、広く深く市民に支えられることによってまちづくりの要のひとつになっていくことが理想と思っているので、先生のお話は大変参考になりました。


 

 引き続きワークショップが行われ、「小樽の歴史文化ストーリーを作ろう」というテーマで参加者からの発言を募りながら進行されました。

 参加者のみなさんの意見をボードにまとめながらの進行


 いきなりストーリーといわれてもなかなかすぐにはでませんでしたが、前回に引き続いて「自分たちが思いつく小樽の文化遺産は何ですか。」という話題になりましたので、かねてから私が考えていた「小樽市に残る古い写真」のことを話させてもらいました。内容は

・市役所広聴広報課には昭和初期から広報小樽用にとりためた写真やネガが10万点以上、それ以外にも総合博物館、図書館、各家庭のアルバムにも残されていること。

・その写真に写る景観が今も街中に残る希有なまちであること。

・メインのコンテンツにはならないかもしれないが、様々なテーマをつなぐ、サポートする重要なキーになるのではないか

  写真技術の発達が小樽市の近代化の歴史に重なること。

などを話させてもらいましたが、幸い参加者の何人かの方にご賛同と8㎜映像なども入る等のご意見をいただくことができました。


 他のみなさんからも熱心なご提案があり、あっという間に時間が過ぎていきました。


 その後、ストーリー作りについて商大の高野先生からは運河について市民自らの手で守る、作る保存運動、さらにそこから派生する市民活動の歴史なども近現代につながるストーリーとなりうること、石川総合博物館館長からは近代の歴史だけでなく現代に続く話も新しいストーリーとして出てきたことが本日の成果。それからいえば商店街の変遷等も文化財になり得るか、などが提案されました。

 最後に川上先生のまとめとして、「みなさんの熱意関心の高さを感じた。その熱意で構想は進んでいく。今後様々なストーリーが出てくるだろうが、それぞれが(小樽という根っこで)実は結びついている。その結びつきのキーを見つけることで前へ進んでいくだろう。」とのお言葉をいただきました。 

 まさにそのオリジナルなキーを見つけることがこれからの市民のみなさんの知恵や発想力の結集にかかっていると感じたワークショップでした。