まちづくりセミナーin朝里 開催2019/08/28 19:05

まちづくりセミナーin 朝里

 今日8月28日、私の所属する「小樽・朝里のまちづくりの会」が「観光カリスマ吉川真嗣氏に町おこしの秘訣を聞く」と題しセミナーを開催しました。

 

  


〈新潟県北方の城下町・村上市。その廃れかけた商店街で一人の男が立ち上がった。そこに残る昔ながらの町屋を舞台に、生活空間である「町屋の中の公開」をはじめ「町屋の人形さま巡り」「町屋の屏風まつり」の企画や、景観の再生に取り組み、町屋の歴史的価値と魅力を全国に広め、多くの観光客が訪れるなど村上の活性化に20年にわたり大きく貢献してきた。〉  

それが今回の講師、吉川真嗣氏です。 

主な経歴は

1964年 新潟県村上市に生まれる

1988年 早稲田大学商学部卒業後、商社に勤務

1990年 村上に戻り家業である「味匠 喜っ川」に勤務

1998年 村上町屋商人会会長に就任

2002年 チーム黒塀プロジェクトを設立

2004年 むらかみ町屋再生プロジェクト会長に就任

2010年 「伝統的建造物群保存地区」選定に向けて活動開始。

2013年 「空き店舗・空き家再生プロジェクト」始動。

2005年より観光庁が選定した「観光カリスマ百選」の一人

「光かがやく町屋再興カリスマ」として活躍中 

  吉川さんの講演の様子です。大変分かりやすい中にも熱のこもったご講演でした。


 その発想・実行力と、なにより多くの人をひきつける魅力について、この小樽でも学びたいということで企画しました。これまで全国町並みゼミ等の活動をとおして旧知の仲である当会の中一夫氏の呼びかけで実現の運びとなりました。

 

 急な企画でしたし、平日の日中でどれくらいの方がきていただけるか不安でしたが、うれしいことに当会会員の他、地域のみなさん、新聞記事を見て関心を持たれた方、市会議員等、60人を超えるみなさんが集まってくれました。

 満員のみなさんがご覧の通り食い入るように聞いておられました。


 私が司会進行をつとめ、永井会長の挨拶、中さんの講師紹介に続き、いよいよ吉川真嗣氏のお話です。プロジェクターで映像を見せていただきながら約2時間の熱演を大変興味深く聴かせていただきました。



 お話を私なりにまとめてみますと、

1.    村上市の歴史、食文化と家のご商売である鮭の加工にかかわる経緯等、

2.    衰退する村上市のすすめる「近代化」「道路拡張」が本当に町のためそこに住む人たちのためになるのか。吉川氏の葛藤と苦悩。決心。

3.    「歴史を活かしたまちづくりで成功している町がたくさんある。村上もめざそう!」

一人で近代化に反対の声を挙げ、保守的周囲との摩擦の中でもアイデアで突破!

4.    様々なユニークなアイデアと企画力、実行力で次々と仲間、を増やしていく。マスコミ等の活用により集客、町の人のやる気、誇りを目覚めさせる戦略。

  町のマップ作り「村上絵図」

  町屋の人形さま巡り

  秋の催し「屏風まつり」

  黒塀プロジェクト

市民有志の参加による黒板塀設置の様子。子どもたちも参加していますね


  町屋の外観再生プロジェクト などなど

上が外観再生前、下が再生後。わざわざ古い外観に直す「修景」というやり方です。


5.    新たな挑戦 新潟全域を対象にした「にいがた庭園街道」と、とどまることがありません。

 

6.こうした活動を続けてきた中からの提言。まちづくりの教科書でよく言われること常識を鵜呑みにするな、非常識に思うかもしれないが経験上、以下の通り。

 ・とにかく全力で成功レベルまで持っていくこと。それでみんなはついてくる。

  「みんなでがんばる」ではなく、たとえ一人でもやる

  「みんなで考える」と無難でありきたりになってしまう。ユニークな規格を作るためにはとんがった個人の考えが大事

  やる気のある人だけを集めて突破する

  3つのリスクを引き受けると組織の中でも合意をとれる。それは「お金・資金」「労力・面倒」「責任」これらを引き受けると反論できない。

  リーダーシップに必要なのは「信念」と「実行」

7.    最後にこれらの活動によりようやく3年前村上市は180度方向転換「歴史を活かすまちづくり」の方針決定。

 という流れだったと思います。

 

  

 私がお聞きしたかったのは、

  そのアイデア、企画力はどこから来るのか。

  たった一人で突破していく原動力、方法について

  多くの人を巻き込むリーダーシップ、人物の魅力はどこから来るのか。

などでした。

結果としてお話しのなかに充分その答えが盛り込まれたセミナーでした。


家族の支えのもと、たった一人で勇気を持って一歩を踏み出したことが今の村上市を作ったのですね。決して誇張や自慢ではなく、悩みながら手探りですすんできた20年間を感動を持って聞かせていただきました。

最後に「灯りがないと嘆くより自ら灯りをともしなさい。」とのことば、(多分聖書の中にあることばでしたか)が座右の銘とのことです。吉川氏がここまで歩んでこられた道のりを本当によく表した言葉だと思いました。

また、氏の「そのまちの良いところ、他市にないところを活かしたまちづくりを進めるべき。便利さを求める全国的な画一化・近代化の波に抗する活動の原点は小樽の運河保存運動。」との発言からは改めて、市に残る歴史的建造物遺産群の保存活用が今の小樽再生の鍵のひとつになると確信しましたし、今後も現在進めている活動を前進させていこうと思いました。

  お話しは2時間近くに及びましたが、あっという間に過ぎた充実したセミナーとなりました。吉川氏と共に、参加くださったみなさんにも改めて感謝いたします。