活動報告会のご案内 ― 2019/11/07 17:35
会派視察 新潟県阿賀野市村上市 ― 2019/11/08 17:03
会派行政視察に行ってきましたのでご報告。
去る10月29日から31日まで、私たち小樽市議会立憲・市民連合の4人は新潟阿賀野市と村上市に行政視察に行ってまいりました。残念ながら同会派の林下議員は別の仕事があり、不参加でした。
議会が実施する行政視察というのは、市が当面する政策課題について先進自治体の対応策を調査させてもらったり、意見交換したりするために行っていますが、現在、小樽市議会では今回のような会派ごとに関心のあることについて行う会派での視察と、4つの常任委員会ごとにその委員会が所管する政策課題について探る委員会視察の2種類を行っています。
両視察とも市の予算を使って行うものですから、世間でよく言われるような単なる物見遊山にならないように、しっかりと学んでくるつもりで出かけていますし、事前に視察先の市の担当課と打ち合わせをしてこちらの調査(質問)事項を伝え、視察当日は効率よく行えるように準備をしてから出かけます。ちなみにこれらを主に仲介してくれるのは両市の議会事務局のみなさんです。大変お世話になっています。
さて、今回はまず10月30日に新潟県阿賀野市です。
阿賀野市役所前で証拠写真。左より面野大輔氏、高橋龍氏、私、中村誠吾氏
調査事項は
「暮らしの中に塾のコンビニ!市民総活躍のまちづくり事業について」です。
阿賀野市では、地域の活力、まちの賑わいを創出するために、各ライフステージに対応するいつでもどこでも自由に参加できる各種塾(塾のコンビニ)を開設し、市民が外に出歩く(学ぶ)機会を増やそうそのことで、故郷の愛着意識の醸成やまちの活力回復、市民の健康増進にもつなげようという施策です。塾のコンビニは市職員のアイデアによる多種多様なもので、市内数カ所を拠点に実施されているようです。
具体的にお聞きしたのは以下の通りです。
〇事業開始までの経緯
事業の必要性、事業実施までのスケジュール、各所管にまたがる事業の庁内連携、
講師を請け負う外部組織との連携など
塾のコンビニ 概要図
〇事業の概要
事業実施に関する予算、各塾の実施内容、塾に参加できる対象者など
・ この事業のための財源は2015年の国の「地方創成加速化交付金」を使ったそうですが、その年1回限りのお金ですから、次の年からは市が単独で予算化しているそうです。
・ 開設された主な塾は
新潟大学医学部健康講座塾、英語塾、放課後スクール地域拡大、防災塾、水鳥何でも塾、観光塾(まちあるきガイド塾)、健康塾、親子遊び塾などです。
〇市民の理解について
事業の周知方法、参加者数の推移など
・ 塾に参加すると地域ポイントカードにポイントがついてお店で使えるなどの工夫がある。
・ 例えば「英語塾」は小学生低学年のクラスから大人中上級までに分かれ、外国人講師1名が全ての講座を教え、年間延べ500回に授業を行い、延べ受講者数は約4000人に達するそうです。大人は2割程度ですが、リピーターが多いそうです。
・ 防災塾は、市民の防災意識の向上を目的に自治会を対象に防災に関する講義や訓練を実施しています。具体的には1自治会あたり、講義1講義2訓練1と計3回実施して効果を上げています。課題としては若い世代の参加が少ないこと、その後の自治会独自のとりくみをどう構築するかなどだそうです。
〇今後の展望について
市民要望から生まれる新たな内容の開塾、拠点の増設など
・ 市民参加、官民協働の体制をいかに作っていくのか、運営やインストラクターの養成など人材確保育成し、将来的にはそれぞれの塾の自立的運営をめざすことがこれからの目標だそうです。
阿賀野市役所職員の方からお話を伺っています。
〇視察からの考察
小樽市においても、限りある財源の中でより効率的で効果的な行政運営が求められている中、行政の役割として「市民の活躍の場」を創出することが、次のまちづくりへのステップとなりえます。現状、小樽市では市民団体の皆さんが実施する活動に対する補助金制度を設けていますが、市が主体的に拠点を構えてまちづくりに対し、取り組む事業は確立されていない状況です。
阿賀野市の「塾のコンビニ」というとりくみは、そのひとつの解決方法として有効な手段だと感じました。スタートは一年限りの国の交付金から始まっています。これを翌年より市の独自事業として継続しているのが、すごいところですし、続ける覚悟がなければ始めてはいけないことでしょう。
小樽市では伝統として市民運動が活発なまちで、自然発生的に塾のコンビニ的な活動があり、それに対して「ふるさとまちづくり協働事業」などで支援するという形で応援しています。これはある意味阿賀野市がめざす自立的運営になるのかとは思いますが、ただ、分野が限られているように思います。学習的分野や健康、防災などは誘導的な施策が必要でしょう。
いずれにしても、英語塾、防災塾など導入可能だし、有効な事業です。会派としてもこれからの政策提案に活かしていくつもりです。
村上市役所前で 看板が伝統工芸の堆朱製です!
続いて、31日は村上市において
調査事項「歴史的風致維持向上計画について」です。
村上市は、新潟県の北端に位置し、自然豊かで、岩船米や地酒、村上牛や鮭をはじめとした 自然の恵みにあふれた食のまちでもあります。また、市内各地には、旧村上城下として発展した城下町や、 北前船の寄港地として栄えた港町などがあり、その町や集落には 武家住宅や町家などの歴史的にも貴重な建造物や、村上まつりを 代表とする伝統文化が数多く残り、村上市特有の情緒や風情を醸し出しています。
このような中、小樽市と同様、人口減少や少子高齢化、生活様式の多様化、社会環境の変化などにより、 将来に引き継いでいくべき歴史的風致が失われつつあるという危機意識が市民の中から生まれたようです。
そこで近年では、「町屋の人形さま巡り」をはじめとしたまちづくり活動や「むらかみ町屋再生プロジェクト」「黒塀プロジェクト」など町家や町並み景観の保全や保存、活用の取り組みが市民の手により進められ、道路拡張による町家解体などの開発に待ったをかける動きが拡大していき、結果、市も歴史を活かしたまちづくりに大きな方向転換を決断したのだそうです。
黒塀通り 市民が集まって板を張り黒く塗ったそうです。
その材料費は主に寄付でまかなわれています。黒塀通りの一画に賽銭箱が置かれ、寄付を募っていました。
そこで村上市では平成25 年に、景観法に基づく「村上市景観計画」 を策定し、市民と行政の協働による景観づくりに取り組み、さらに、歴史と伝統文化を活かしたまちづくりをこれまで以上に積極的に推進するため「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律」(通称「歴史まちづくり法」)に基づき「村上市歴史的風致維持向上計画」を策定しました。
これまでこのブログでも紹介してきたように、小樽市の色内地区に残る明治から大正、昭和初期の近代銀行建築群の老朽化にいかに対応するのかという観光都市小樽の大きな課題解決のためには国の事業を活用すべき、という私や仲間の主張は、多くのみなさんのご尽力により小樽市の迫市長はじめ市の職員のみなさんのご理解を得て、この度、次期小樽市総合計画にも位置づけられることになりました。そこで国の事業の内、「歴史まちづくり法」について実際に認定を受けた自治体から、お話を伺いこれからの小樽市での認定作業に役立てるべく、村上市に視察をお願いしました。
ただ、数ある認定自治体(現在78自治体、何と北海道はいまだ0!)からなぜ村上市を選んだかというと、今年8月28日に私の所属する「小樽・朝里のまちづくりの会」が開催した「まちづくりセミナーin 朝里」で講師をお願いした観光カリスマ吉川真嗣氏がお店を構え、まちづくりをすすめたまちだからなのです。くわしくはこのブログ8月28日の分をご覧ください。
吉川さんが一人で始めたまちおこしの活動が多くの市民や最終的に市を動かしたその町並みを見たい。そして、そこを乗り越え今、市と手を取り合って様々な活動を行っている様子を両者からうかがいたいとの思いがあったのです。
ずっとこの施策に関わってきた村上市都市計画課都市政策室の係長さんから 映像を使って説明頂きました。
お話を伺った具体的な内容は
〇認定までの経緯
計画策定前の必要性、庁内連携、スケジュール、
計画策定のための協議会立ち上げなど
〇計画策定後の関係省庁や事業者との連携について
国土交通省からの助言、歴史的景観保全に関する民間企業とのマッチング
重点区域内に位置する団体や事業者との連携など
〇既存計画との関係性
観光計画や都市計画などとの位置づけなど
〇計画認定後の新たな施設とその財源
貴市の課題、補助金が充てられれる具合的な事業など
〇市民の理解について
住民のシビックプライド醸成、学校教育への波及効果、
計画や事業に対する意見の集約など
〇今後の展望について
実施計画、計画の見直し、今後の計画推進のための事業費予算推移など
などです。
わかったことなどについてはくわしくは述べませんが
・ まずは市が策定する「歴史的風致維持向上計画」を策定する際、国の関わりが文科省、農水省、国交省に渡る。さらに国の出先機関や道との連携関係維持が大切であること
・ 策定には法定協議会の設置が必要であること。
・ 域内の住民理解の方法について
・ 景観計画や歴史的建造物の調査・指定作業が必要だが幸い小樽市は済んでいる
・ 修景作業(昔の建物に合わせて建物の外観を再生する手法)等に民間まちづくり団体との協働が進んでいる。(これまでの歴史的経緯がある)
などです。
市役所でのレクチャーの後、職員の方同行のもと、まちの特徴的な地域や建物を見学させてもらいました。
公開されている町家建築の内部。市が所有し、コミュニティホールとして活用されているそうです。
市指定歴史的建造物であること示すプレートですね。これも堆朱でできています。
この九品仏も歴史的建造物指定を受けているので修復等に補助金が出るそうです。
また、終了後吉川さんのお店(鮭の加工販売を続けるまさに町家建築の粋)に伺い、お話をお聞きしました。市のお話とまさに表裏にある話で大変興味深かったです。特になぜ吉川さんがこのまちで一人でもくじけずに運動を進めることができたのか、その原点は小樽の「運河保存運動」にあるのだとのこと。「小樽運河を守る会」の峰山富美さんのことが常に原点であることを力強く語ってくれました。
こうしたお店は外観を歴史的趣を生かして再生する「修景」を吉川さんの進める市民団体や国の助成を使って行っているそうです。
こうしてお話を伺えば、私たちのまちの歴史的な遺産をしっかりと後世に残していく事は運河保存運動に取り組んできた市民や、当時の行政関係者のみなさんの思いを受け止めることになるのだなと思いました。
現在、小樽市の運河が半分とはいえ残り、整備され、観光産業が隆盛しているのは結果的にその両者による切磋琢磨によるものです。また、同じように今の村上市でも行政と市民団体がしっかり連携してまちづくりを進めている事実も全く同様の成果だと思いました。
村上市の分は少し散文的な報告になってしまいましたが、これまでの私の活動に大きく関わっている分、感情に流れてしまうのはどうか勘弁いただきたいと思います。具体的に学んできたスキル的な部分は市の職員のみなさんに環流し、役立てていただきたいと思います。
活動報告会の報告 ― 2019/11/24 21:35
①歴史・文化・アイデアを生かした、ひと・ものづくり
[文化・産業]
②子どもたちの現在(いま)と未来(あした)を支えます。
[子育て・教育]
③安全・安心に暮らせる平和なまちに
[安全・平和]
④来たい・住みたい・育てたいまち、小樽に
[まちづくり]
最近のコメント