第3倉庫活用ミーティングオープン勉強会2021/03/22 21:31

 320日午前中の第3倉庫の見学会に引き続き、午後2時から4時まで市民センター「マリンホール」で市民と共に勉強し、保全活用に向けて広くアイディアを聞くために、一般市民等を対象としたオープン勉強会が開かれましたので、参加してきました。主催は北海製罐小樽工場第3倉庫の保存活用について検討する民間組織の「第3倉庫活用ミーティング」です。

北運河を代表する建築です。小樽唯一の景観を後世に残すために


1部は基調講演。
テーマは「歴史的、建築的側面から見た第3倉庫」、講師は北海道職業能力開発大学校 特別顧問で第3倉庫活用ミーティング座長の駒木定正氏です。

駒木先生のご講演。参加者はコロナ対策でひとつおきの座席です。


ご講演内容で私なりに印象に残った点をまとめてみました。
1.
はじめに-北海製離第3倉庫をめぐって

 最初に北運河に残っていた最後の艀(はしけ)が昨夏、老朽化を理由に解体されてしまったことに触れられ、何もしなければどんどん歴史遺産はなくなってしまう危惧について述べられました。第3倉庫も同じ事にならないためにしっかり保存活用の道を探らねばとのことです。

    お話しにあった解体された艀(はしけ)残念!

2.運河の建設と北海製倉庫の創業

 小樽運河といえば石造倉庫群の印象が強いが運河建設と同時に建設されたこの倉庫の価値について

     建築中の写真が示されました。

3.第3倉庫の特色

 運河の埋め立て地(海の中に!)に土台に木の杭などを使って土台を築き鉄筋コンクリート4階建ての建物を築いたこと

 水辺の景観と調和した合理的建築(局面の外壁、デッキでの貨物移動にスパイラルシュート、常会に行くに従って細くなる柱など)、パリのポンピドーセンター(現代アートの美術館)との共通点も上げてその価値を強調されていました。
4.
保全と活用に向けて
 小樽では運河の保存運動が始まってから約50年が経ち、今では歴史的なまちなみや建造物を保存・活用することの大切さを市民が理解し、まちづくりの根幹になっている。市民が声をあげていくことで第3倉庫についても前に進んでいく事を前提に今後の見通しとして、

 

「第3倉庫活用ミーティング」では、北海第3倉庫の保全と活用プランを今年9月までに市に提案したい。
 ただし、より良い保全と活用の計画を実現するには提案を経てから数年間にわたる課題解決の期間が必要とみている。

その課題として

 ・ 建物保存の意義の理解を広め多くの市民の合意

  港湾地区としての用途の制限など法と制度の掌握

  現況把握のための劣化調査と改修工事

  運営母体、運営方法

  費用の捻出方法など

これらを時間をかけてじっくりと取り組む姿勢が大事になっている。

とのことでした。

 私も提案がいかなるプランであれ、実現にむけて検討するのに一定の時間は必要と思っていましたので、その時間をどう作るかも今後の大きな課題になるでしょう。

 いずれにせよ北海製罐ホールディングが示した期限は9月ですから、提案を受けて市が早急に決断をして北海製罐側に返事をすることになります。その時間も含んで市が検討することになりますね。

 

2部はパネラーとの意見交換です。
・これまでお寄せいただいたご意見紹介

代表的な意見をいくつか抜粋であげられていました。
・歴史的建造物がたくさんあるのに、それらを紹介したりする場所がない。そのような紹介ができる資料館としては。
・運河保存運動の記録を残せるような「小樽運河ミュージアム」。
・小樽を含む北後志の魅力、美味しいものがそろう「後志館」のような場所。
・小樽を舞台にした映画や小説、小樽のアーティストの絵や作品を紹介・展示するスペース。現在活動している作家の表現の場にもなればよい。
・オシャレなレストラン、カフェなど。
・市民が気軽に使える多目的ホール。文化拠点となってほしい。
・運河クルーズ船の船着き場など、海とリンクした活用。
・その後の運営のためにも、公的な事務所が入るといいのでは。
他、多数のご意見が示されていました。

パネラーのみなさん。若いみなさん中心で頼もしく感じます。


会場の方々との意見交換で登壇者(パネラー)は第3倉庫活用ミーティングメンバーから
駒木定正氏  北海道職業能力開発大学校 特別顧問
白鳥陽子氏  うんがぷらす()取締役プロデューサー
福島慶介氏   小樽商工会議所 みなと観光プロジェクトメンバー 福島工務店社長
峰尾光人氏   3倉庫の次世代活用を考える若者ネットワーク Non-, 代表

4人のみなさんのオープニングトークでおっしゃっていたことは

  札幌にはない、小樽独特、唯一の魅力を生かしていくべき

  文化と経済の両輪で進む小樽、その中でこの保存活用が事業収支的に、採算ベースでどう成り立たせるか

  今回は若い世代も注目してる。若者の視点をどう取り入れていけるか

等が示されていたと思います。

また、参加者からは

  まず保存が大事。市に寄贈してもらい、その上で検討を。

それに対し駒木先生からは「寄贈はあり得る。その後の維持費を市が出資するとすれば市民のみなさんの声は大きな力になる。」

  観光活用の話がパネラーからあまりでなかったが。

白鳥氏「小樽市民や近郊をターゲットにすること(リピーターづくり)で自ずとそれ以外にも広がっていく。」

福島氏「まず市民が活動することで魅力的文化が育ち、それを見に来る客ができる。市民が主役の観光。」

  駒木氏「文化財として捉えるのか、使うために保存するのか その加減が難しいところ。」

  ニセコ町民だがこういうことは経験上、20〜30歳代に任せるべき。40歳以上はそのサポートに回るべき。

峰尾氏「寄せ書きプロジェクトや、第3倉庫の未来地図などの取組で若い世代の声をくみ上げてきた。歴史文化を生かした経済の営みにつなげていきたい。」

峰尾さんが中心ですすめられた寄せ書きプロジェクトの内容。


 などの意見交換がありました。

最後に駒木座長からまだ提案はまとめていないので今回の意見も生かして、まとめていきたい。とのお話しがあり、なかなかの盛り上がりの中、今回は終了しました。

 

今後について私見

 小樽市民だけでなく、市外からの参加者もいらっしゃり、積極的にご意見を述べておられた様子から広く相当の関心を持っていただいていることがわかりました。今後もこうしたみなさんと、例えば今回触れられなかった文学や美術との関わりについてなど、見聞を深めることでこの建物のさらなる価値を市民と共有でき、保存活用の道につながっていくことと思います。

 また、議会の一般質問でも述べましたが、若い世代のこの問題での活動をしっかり支えていく事なども限られた時間の中ですが、今後に期待し、私からもさらに提言していきたいと思います。

 



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