第44回全国町並みゼミ奈良大会③ 奈良大会2日目報告2021/11/29 22:17

 

2日目は、奈良県文化会館国際ホールで開かれました。まちづくり団体の関係者や市民ら約240人が参加していたそうです。

挨拶等に続いて、オープニングアクトとして朗読劇「町家よ語れ」が上演されました。

       古くから残る町家が自ら語り出すという演出です。

 

続いて、奈良町まちづくりシンポジウム「まちの資産のいかしかた~なにを・だれが・どのように~」です。

パネリストは

西村幸夫先生(國學院大學教授・東京大学名誉教授)
増井正哉先生(大阪くらしの今昔館(大阪市立住まいのミュージアム)館長、奈良女子大学・京都大学名誉教授)

コーディネーターが倉橋みどりさん(きたまちコンセント副実行委員長)

  シンポジウムの様子。例年だと満員のお客様で埋まるイベントですが。


 紹介文によると、

「第44回全国町並みゼミ奈良大会を機に、奈良町でまちづくり活動を行っている団体が協働し、新たな取り組みが行われています。そこで、シンポジウムではそうした奈良町での取り組みを振り返りながら、全国の歴史を活かしたまちづくりに精通している西村幸夫先生、長年、奈良女子大学で教鞭をとられ奈良町のまちづくり活動や町並み保存運動にも詳しい増井正哉先生と一緒に、奈良町のまちの資産とは何なのか、だれが関わり、どのように活かしていくのかを考えます。歴史ある町のまちづくりについてぜひ皆さんも一緒に考えましょう。」

とのことで、何度かお会いしてお話も伺っている西村先生のお話には特に期待して聞き耳を立てていましたし、地元の増井先生からこの大会に至るプレイベントの話は再来年小樽開催の貴重な参考になりました。そして、何より驚いたのがコーディネーターの倉橋さんの仕切り力。大物パネリスト二人のお話を見事に引き出し、展開していました。

 

 さて、お話の私なりに印象に残ったポイントを例によって箇条書きでまとめてみます。

西村先生

・全国町並みゼミの歴史をまとめると

  初期 壊される街並みを行政から守るため、情報を求    めて全国から集まる。

行政への不信感

  中期 町が変化するときのルールを作ろう。町並みは弱い立場だから守ろう。

  現在 空き家放置、活用法 次世代への継承 活力の維持どうする

・若い世代を育ててゆく学びの場としての地域、歴史的町並み「まちはゆりかご」である。

・まちづくりに関わる人々の次世代への継承について

  あまり世代交代を意識せずに。若い世代はライフスタイル、人生の価値観が変わってきている。(古いものが好き、面白い!など)そうした世代の人を街として受け入れる、支える懐の深さに期待したい。

・課題として地域のまちづくり活動の結果、町に雰囲気が出てくると外部から「フリーライダー」(タダ乗り)が入ってきて美味しいところだけ持っていく。それをジャッジする有形無形の仕組みが必要になる。

ベースは町並み。町を愛するさまざまな人が建物、町並みの持つメッセージを包容力を持って読み解く、感じること。

 

増井先生

・「奈良町」と「ならまち」の意味、エリアが違う。

・大会のプレイベントとして「プレゼミ奈良町トーク」、「奈良町見知る」、ユースプログラムなどの内容と意義について。特に「奈良町見知る」のマイクロツーリズムとしての可能性が小樽にも当てはまると思いました。

・多様な価値観などをどのように活かすか、受け入れていくか。その多様性の中で共通の話題「町並みを大事にしたい。」という気持ちをサポートする仕組みがいる。

 

 続いて前日の各分科会の報告を分科会の司会をされていた方からありました。

ちなみに第1分科会は私が参加したということで前々回に紹介していますが、それ以外のところは、


第2分科会 建築物 伝統的民家の継承の考え方 ー暮らしの変化に合わせた取り組みの模索ー

第3分科会 生活文化 生活文化を継承する手法と課題 -「なにを」残すのか

第4分科会 まちづくりの採算性、収益性ー古民家活用やまちづくりにおけるビジネス手法のとらえ方

第5分科会 担い手 まちの良さの伝え方-ニューヒーローの思い-

ということでした。

      第3分科会のまとめです。 


 その後、大会宣言に続き、次回開催地である新潟市から挨拶や紹介映像上演がありました。来年の新潟大会閉会式用に小樽も何か用意しないとなりませんね。

最後は閉会式。

新潟の皆さんからの次回大会のアピールです。 来年は6月開催


あっという間の3日間。コロナの影響で多くの皆さんと交流する機会が少なかったのは残念でしたが、前日の今井町をはじめ、各地の発表等を通して今年も「まちづくり頑張ろう!」という活力を満充電できた3日間でした。

 



コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://t-sasaki.asablo.jp/blog/2021/11/29/9444213/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。