なえぼ公園自然調査と自然保護関係団体交流会2017/08/06 20:33

なえぼ公園自然調査と自然保護関係団体の交流

 去る6日日曜日、小樽市建設部公園緑地課がなえぼ公園の自然調査を行うとのことで、同行させてもらいました。主になえぼ公園内を流れる二つ目川の水生生物生息調査です。自然観察公園であるなえぼ公園の近年の環境変化(悪化)、特に二つ目川上流にできた市の雪堆積場と山の地肌を露出させて設置された民間の太陽光発電施設の影響が森の生き物にどのくらいに及んでいるのかを調べるのが目的です。

建設部職員、総合博物館石川館長も見守ります。 

専門家として北大の大原昌宏教授と市総合博物館の山本亜生学芸員が調査にあたりました。大原教授は大学卒業後市博物館の学芸員としてなえぼ公園の生物昆虫等の研究を続けてこられた方ですし、山本学芸員は以前私がなえぼ公園についての質問を作ったときに的確なアドバイスをいただい方です。そのお二人の調査活動に私はカメラマン(?)として同行を許可されました。

この調査を実施することになったのは、私の質問が少しはきっかけになったのかなと自画自賛するところですが、実際に今回の調査で環境の変化を目の当たりにしたり、先生方の知見に基づく対処法などをお聞きすると、環境を維持するのは簡単なことではないなと感じました。

 流れに網を入れる山本学芸員。蚊やスズメバチもやってきます。

さて、実際の調査についてですが、図の通り上流から下流にかけて複数地点でお二人が川に入って網を入れ、捕獲される生物を特定するという作業です。A~G地点についておおよその特徴をまとめます。(注:あくまでも佐々木の素人観察です。)

A.二つ目川の本流、赤岩から流れ、きれい。生物が多い、アメンボ、オニヤンマ、カゲロウの幼虫

ヨコエビ、カワニナ、モノアラ貝など

B.支流。問題の施設下流大雨が降ると沈砂池からあふれ泥流を化す。しかし意外とオニヤンマ幼虫など多し

C.合流点下流。泥が20センチ以上堆積。水の中はよい状況でなく、ガガンボ幼虫、アメンボ、ヨコエビ程度で生物少ない。岩の裏にくっついて生きる生物が泥で岩が埋もれ棲めなくなっているとのこと。

D.公園内。Cと同じ。よくない状況。生物はガガンボ幼虫ヨコエビぐらいで少ない。

救った網から生物をより分ける大原先生 私にはごみにしか見えません。

E.泥が減る。ハナカジカ3匹。以前山本学芸員よりカジカはきれいな環境に住むと聞いていたので一安心。このカジカは環境条件を比較する資料種となりうるそう。この場所で定期的にカジカを採取する定点観察をしては。とアドバイスいただく。

カジカ発見!やはり生息しているんですね。安心しました。

F.通称トンボ池。流入した土砂で埋まりそうになっているが、ヤゴは生息している。浚渫が必要。

G.森の自然館横の橋のところ。一番子供たちが入って遊ぶところだが、生物的にはヤゴなど。

 これらの調査より、やはり雪堆積場、太陽光発電施設からの泥の流入が特にC,D地点に影響が大きいことがわかります。雪の水温低下や塩カリの影響より泥の影響が大きいようです。今後発電施設では緑化作業を進めると私に入っていましたが、いち早く手を打ってほしいものです。

 

これら川以外にも道路わきのザゼンソウなどが生える湿地についても笹が広がり陸化が進んでいることを指摘され、湿地保全をどのようにすればいいのか(単に笹を刈れば外来種がはびこるだけになるなど)や湿地脇の在来種の植物が茂る原っぱの生物の住処としての重要性について公園緑地課の職員のみなさんと共に聞く事ができました。今後の公園管理の貴重なアドバイスをいただけたのではないでしょうか。

 わたしたちはなんとなく見過ごす在来種植物の原っぱ。蝶類の繁殖には特に貴重らしいです。

午後からは大原先生の調査報告と関係団体の交流会が行われました。

参加は「キノコの会」「日本野鳥の会小樽支部」「自然観察協議会小樽支部」の3団体のみなさんです。大原先生からの報告は私の撮った写真をスライドショーで見せながら、おおよそこれまで私が書いたような内容でした。

その後の交流会では、それぞれの会の活動目的となえぼ公園での活動内容やなえぼ公園の関わる要望や意見などをお聞きしました。中には公園緑地課にとっては耳の痛いこともありましたが、本当に普段から公園に深くかかわっているみなさんなので、貴重なお話が出たと私は感じました。1回目の開催ということでこれからも続けていく事が大切ですね。

特に「なえぼ公園の位置づけ」というお話が出ました。苗穂という歴史を見せるのか(歴史)自然観察公園として見せるのか(自然)都市公園として見せるのか(公園機能)どれを選ぶのかは最終的に市民である。というお話は今後のこの公園の維持管理方法に直接影響する話です。

 

以上、長々と書きましたがこのなえぼ公園の存在価値は小樽市や市民にとって意外なほど貴重だと私は考えます。都市の真ん中にこれほどの湿地を含む自然環境が残っている例は少ないとのことです。上のご意見のような将来的な話もこの環境が残っていてこそです。どうか皆さんもなえぼ公園に一度足を運んでいただき体験していただければと思います。