復活 小樽柾里神社① ― 2022/10/06 08:54
私の自宅すぐそばに建つ柾里神社。朝里の浜を見下ろす丘の隅に今ではあまり目立たず周りを林に囲まれ徐々に荒れが目立つようになってきていました。

柾里神社は1798年(寛政10年)に渡島管内福島町の神主がニシン漁で訪れた際に建立したとされています。主に漁業者が氏子として、船の安全などを願う春の祈願祭、豊漁に感謝する秋の例大祭を毎年開催。30~40年前の最盛期には50人ほどが参加していた。だが、朝里地区の漁業の衰退で、5年前に神社の役員も亡くなった、とのこと。(道新記事より)
私は20年ほど前に住み始めましたが、例大祭が開かれていたとは失礼ながら気づきませんでした。
左の2基の石碑は「八大龍王神」「川裾(かわしも)大明神」と刻まれ、「慶應三年」の文字も見えます。調べますと社殿も石碑ももともとこの地にあったのではなく、移築されてきたもののようです。

昨年、私が見つけた時には社殿前の柱が束石からずれ、倒れる一歩手前の状態でした。ありあわせの材料で応急措置をしましたが危機一髪。冬が越せるか心配になり、私も所属する「朝里遺産の会」の皆さんに相談したのでした。

何とか冬は越したのですが。さらに追い打ちです。5月の強風でニセアカシアの木が倒れ、屋根の上に乗っかってしまったのです。ピンチです!

そこで柾里神社復活に立ちあがったのが朝里遺産の会のメンバー一同、小樽・朝里まちづくりの会、地元朝里町会の皆さんです。
先ずは社殿までの参道が倒木などで暗く通りづらい状況でしたので、その除去からスタートしました。寸暇を惜しみ、ほとんど独力で倒木をチェーンソーで切ってくださったNさんには本当に感謝です。

また、社殿の周りは笹薮だらけ。みんなで刈り取り作業です。何せすごい量なので大変です。

まずは内部の清掃、破損状況調査です。床板、土台の破損がありこのままでは中は危険な状況でした。

残されている事物の調査です。棟札は建物を建てた際の年号や勧進元などが記された貴重な記録です。これがたくさん残されているのは珍しいそうです。


さて、問題の狐の木像です。柾里神社が稲荷社であることに由来します。木彫の技術的には拙いものですが、実はその底に「寛政元年(1789年)五月吉日 神主笹井日向守」とあります。この年が社の建立年だとすると通説より9年早まることになります。こんなところが地域遺産研究の醍醐味ですね。今後の研究に期待したいと思います。

地域の工務店大忠安藤建の安藤会長が設屋根の上の木も降ろしてくれました。以下の工事も安藤さんが請け負ってくれています。

社殿内部は床下修復、床板張替え、天井も張られていた天井板をはがし新たに張り直し、木目が現れた建立当初がこうであったろうという形に修復してもらいました。

束石もきちんと立て直し、柱倒壊の危機から救われています。
さらに周りを覆っていた笹などの草木を朝里町会や遺産の会の皆さんが刈ってくれました。 おかげで草木に隠れて見えなかった朝里の海が見えるようになりました。昔の氏子さんたちはこの景色を見ていたのですね。

この後はいよいよ柾里神社例大祭の復活です。
次回「復活 柾里神社② 例大祭」をお楽しみに!
復活 小樽柾里神社② 例大祭 ― 2022/10/07 11:07
さて、柾里神社の修復・修景が進む中で、朝里遺産の会の中から「以前行われていた10月4日の例大祭を復活させよう」という声が上がりました。「せっかくやるのなら柾里同神社は国の重要無形民俗文化財「松前神楽」が市内で初期に伝わった可能性が高く、例大祭でも舞を披露できないか。」と話は進み、例大祭復活に向けて整備に一層熱が入るようになります。
ここまでの活動を評して朝里遺産の会前川代表は「多くの協力で人が入れるようになった。整備に関わる人が増えることでより地域の関心が高まれば」と新聞取材に答えています。

前日までに準備が整いました。立てた幟は社殿内に保管されていたものです。

さて、いよいよ例大祭当日です。よりにも寄って朝から大雨。私もカッパを着ての準備作業です。

前日にまちづくりの会からお借りしたテントを張っていたので、松前神楽は予定通り実施です。松前神楽小樽保存会のメンバーの皆さんは早くから準備をしてくださっています。

雨の中、足元もぬかるむ中にもかかわらず、開始の10時半には昔からの氏子さんを始め、地域の皆さん各会のメンバーを中心に40人以上の方がお参り来てくださいました。

例大祭が始まりました。まず、修復なった社殿で天満宮の宮司で朝里神社の宮司でもある加藤清久宮司を招き、祝詞の後、参列者が玉串を奉納しました。雨漏りもなく安心です。

引き続き、国の重要無形民俗文化財である松前神楽の舞の中から神遊舞と獅子舞を披露していただきました。松前神楽小樽初上演の可能性がある場所での舞と思うと観る方も感慨ひとしおです。

大雨の中になってしまいましたが、最後まで傘を刺して観覧いただきました。ありがとうございました。
前川代表は最後に「神様に豊漁を感謝し、地域住民が松前神楽を楽しんでいた往時の景色が復活したよう。これからも地域の手で守り続けたい」と話されていました。
そう言えば、お祀りしている石碑の一つは八大龍王神。龍神は海や水に関わる神様ですからこの日の大雨はしょうがないかもしれません。
帰りにお土産として地元の老舗菓子舗「里李庵(りりあん)」の美味しいお赤飯と紅白餅をお持ち帰りいただきました。
撤収作業は雨により次の日となりましたが、私は決算特別委員会出席でお手伝いできず心苦しかったです。申し訳ありませんでした。


例大祭を終えて今日の柾里神社と朝里の海です。また静かに時が過ぎていくのですが、これからの雪や風に少し心配は減ったのは助かります。
朝里遺産の会では引き続き柾里神社の歴史を研究し、維持管理もしていく予定です。
また、北海道新聞には何度かにわたって取材、報道していただき地域の皆さんに関心を持ってもらうきっかけとなりました。改めて感謝いたします。
活動報告49号発行 ― 2022/10/18 10:08
小樽市議会2022第3回定例会、決算特別委員会が続きました。それらについても扱った佐々木つかさ活動報告第49号を発行しましたのでご覧ください。
今議会では私も一般質問に立ちました。その中で北海道新幹線延伸に伴う並行在来線小樽余市間廃止で使われなくなる線路跡と塩谷蘭島駅の活用策としてサイクリングロードとしての再生を提案しています。これまで何とか鉄路を残したいと願ってきた皆さんからは、なぜ今なのかとお叱りを受けるかもしれませんが、少しでも活用の可能性を大きくするためにも早くから論議していただきたいと考えてのことですのでご理解ください。
その他、久しぶりの開催になります「佐々木つかさ活動報告会」のご案内をさせてもらいました。是非ご参加いただければと思います。
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