小樽市消防署手宮支署落成 ― 2021/03/17 21:15

市消防署手宮支署(手宮1)が完成し、3月17日に内覧会が開かれましたので行ってきました。現在の手宮、高島両支署を統合し、総合博物館の駐車場敷地の一角に建設されました。ちょうど手宮のホーマックの向かいになります。また、旧手宮線の煉瓦の擁壁遺構や手宮洞窟など小樽を代表する歴史文化遺産に囲まれた場所になりますね。
また、この場所は津波の浸水想定50cm地域にあたるので、心配しましたが、1.5m嵩上げして建てられたそうで安心しました。外から直接屋上に避難できる階段施設も用意されていました。
庁舎の概要はいただいたパンフレットによると
敷地面積 1,3 7 7. 7 7m
〇延べ面積 1,0 6 0. 8 5m
(1階 478. 04 m 2 階 382. 45 m 3 階193. 61 m R階 6. 75 m)
〇構 造 鉄筋コンクリート造3階建て
〇各階用途
1階〜車庫(消防団含む)、防火衣ロッカー室、救急消毒室など
2階〜事務室、食堂、仮眠室、洗面室、書庫など
3階〜消防団会議室兼避難所、機械室など
屋上〜避難スペース
〇配置車両
消防車3台(化学車、水槽車、はしご車)
救急車1台(高規格救急自動車)
消防団車両1台(小型動力ポンプ付積載車)
〇配置人員 3 0名
それでは撮ってきた写真をご覧ください。

車庫前の様子。山側(手宮洞窟側)の道路に向いています。

化学車。新車整備中でした。

こちらは梯子車。消防車は子供の頃憧れてました!

こちら消防団に配備された車両です。思いポンプを機械で昇降できるそうです。


消毒室です。コロナ禍も心配されますからね。

2階事務室。普段はここで執務。


職員の仮眠室。女性用の仮眠室も用意されていました。Wifi設備は無いそうです。

3階、非常用電源装置が配備されています。これは給食センターにもほしいです。

3階消防団会議室兼避難所です。万が一の際はここと繋がった屋上が一時避難所になるそうです。

外の景色。ホーマックと港湾が広がります。

道を挟んで旧手宮線の煉瓦の擁壁遺構が見えます。この下を線路が走り、今は無くなった高架桟橋に繋がっていたそうです。
迫市長は、10時から開かれた落成式で「地域にあわせた消防力の充実を図るため、2つを統合し支所を配置したことにより、人員と車両が集約され、消防体制と救急体制の充実を図ることができた。また、消防団第1分団を併設し、消防本部と消防団の連携がこれまで以上に図られる。地域防災力が強化され、市民の安心安全に寄与できると期待している」と述べたそうです。
北海製罐第3倉庫見学会に行ってきました ― 2021/03/20 21:34
今、小樽市で話題になっている北海製罐第3倉庫を解体の危機から救う道を探る動きの中で、その保全・活用策を考える民間組織「第3倉庫活用ミーティング」(駒木定正座長)が企画した第3倉庫内部の見学会が開かれました。事前の応募が殺到し、私も9時からの部にようやく参加することができました。それだけでも市民のみなさんの関心の高さがわかります。
まずは見慣れた外観から。海側は外壁の落下を心配して網が張られています。
見学の案内、解説は駒木定正座長自らが務めておられましたので、ご専門の建築学の立場からの詳しい内容をも持ち前の平易な言葉と、ユーモアを交えた口調で実際の構造物を示しながら解説いただき、本当に興味深く見学することができました。まずは先生や工場のみなさん関係者のみなさんに感謝いたします。
さて、それでは撮ってきた写真を示しながら聞いてきたお話もちょっと入れていきます。残念ながら見に行けなかったみなさんの少しでも参考になればと思いますのでご覧ください。
配られた案内図。1階2階に階段で上がり2階から4階へはエレベーター。
ちなみに建物の主な規模は
全長:約100m各階:5室に区分
梁間(手宮側):約20m 梁間(札幌側):約15m
天井高さ:1階約5.45m、2・3階約4.5m、4階約4.45m
ご案内いただいた駒木定正先生。ありがとうございました。柱太さが上に行くに従って細くなっている合理的設計であること(1階約90cm、 2・3階約81cm、4階約51cm)や、この柱の基礎部分は約3m四方で木の杭が25本打たれていることなどを説明されています。基礎は運河の海の中に作られたのですね。
天井の高さや梁の形が歴史を感じ、すばらしい。
2階です。奧まで100m。
荷物を下ろすときに使ったスパイラルシュート。第3号倉庫の特徴のひとつですね。人も荷物も上下移動にはこのデッキ部分を使ってする設計だそうです
2階一番手宮側の内壁。緩やかに湾曲しています。下の外観写真のとおりです。活用の際には是非とも生かしたい特長のひとつです。かっこいいですよね。
2階から4階へはこの貨物用エレベーターで移動です。小樽最古の現役エレベーターではとのこと。
4階は最上階。天井には大きな換気口が開いています。
札幌側の部屋。3方向に窓があり明るく広い。いろいろなことができそうな感じです。可能性が広がります。
窓の遮蔽鉄扉の枠がよく見ると平行四辺形なのです。ワイヤー引っ張って開閉するのに便利なようにだそうです。おもしろいデザインです。使えますね。
4階の柱の幅は50cm。上に行くに従って細くなっている合理的設計だそうです。
海側の壁の四角いひび割れ。壁の内部がブロックを積んでいるらしいのです。軽量化のためだそうですが、強度に影響ないのなら海が見える大きな窓にできそうです。(妄想)
お待ちかねの4階からの展望です。小樽市街側。ちょっとマンションの陰になりますが石造倉庫から天狗山まで望めます。下は手宮側。下に幅が広がり本来の運河の姿の北運河。手宮富士から赤岩まで見ることができます。最高のロケーションです。
いかがでしたか。少しでも雰囲気が伝わればいいのですが。
最後に見学の印象として、
・ 内部は広い!天井の高さも充分にある。使い方としては様々に考えられる。
・ 建物の印象として古いが頑丈、丈夫、一徹な感じでこれまで会社のみなさんが充分に手をかけて維持管理されてきた事が伝わる。素人目では充分活用可能なイメージ
・ 活用を考えると人、モノの上下移動の手段やデッキ(?)部分の安全策などは手を加えなければならないが、外の景色(真下の運河や天狗山、手宮富士など)はもちろん、内部のコンクリートの壁や天井、窓の鉄扉など非常にかっこいい、アピール力抜群。これらを生かした活用法を考えるべき。
などです。
思えば、北海製罐ホールディングスの方はよく解体と判断する前に市に働きかけてくれました。どんどん歴史的に貴重な建物が気づかぬうちに消えていくこの町にあって貴重な問いかけであったと思います。これを生かしていくのは市や市民の務めですね。
見学会に引き続き開かれた「オープン勉強会」については後ほど報告します。
第3倉庫活用ミーティングオープン勉強会 ― 2021/03/22 21:31
3月20日午前中の第3倉庫の見学会に引き続き、午後2時から4時まで市民センター「マリンホール」で市民と共に勉強し、保全活用に向けて広くアイディアを聞くために、一般市民等を対象としたオープン勉強会が開かれましたので、参加してきました。主催は北海製罐小樽工場第3倉庫の保存活用について検討する民間組織の「第3倉庫活用ミーティング」です。
北運河を代表する建築です。小樽唯一の景観を後世に残すために
第1部は基調講演。
テーマは「歴史的、建築的側面から見た第3倉庫」、講師は北海道職業能力開発大学校 特別顧問で第3倉庫活用ミーティング座長の駒木定正氏です。
駒木先生のご講演。参加者はコロナ対策でひとつおきの座席です。
ご講演内容で私なりに印象に残った点をまとめてみました。
1.はじめに-北海製離第3倉庫をめぐって
最初に北運河に残っていた最後の艀(はしけ)が昨夏、老朽化を理由に解体されてしまったことに触れられ、何もしなければどんどん歴史遺産はなくなってしまう危惧について述べられました。第3倉庫も同じ事にならないためにしっかり保存活用の道を探らねばとのことです。
お話しにあった解体された艀(はしけ)残念!
2.運河の建設と北海製倉庫の創業
小樽運河といえば石造倉庫群の印象が強いが運河建設と同時に建設されたこの倉庫の価値について
建築中の写真が示されました。
3.第3倉庫の特色
運河の埋め立て地(海の中に!)に土台に木の杭などを使って土台を築き鉄筋コンクリート4階建ての建物を築いたこと
水辺の景観と調和した合理的建築(局面の外壁、デッキでの貨物移動にスパイラルシュート、常会に行くに従って細くなる柱など)、パリのポンピドーセンター(現代アートの美術館)との共通点も上げてその価値を強調されていました。
4.保全と活用に向けて
小樽では運河の保存運動が始まってから約50年が経ち、今では歴史的なまちなみや建造物を保存・活用することの大切さを市民が理解し、まちづくりの根幹になっている。市民が声をあげていくことで第3倉庫についても前に進んでいく事を前提に今後の見通しとして、
「第3倉庫活用ミーティング」では、北海第3倉庫の保全と活用プランを今年9月までに市に提案したい。
ただし、より良い保全と活用の計画を実現するには提案を経てから数年間にわたる課題解決の期間が必要とみている。
その課題として
・ 建物保存の意義の理解を広め多くの市民の合意
・ 港湾地区としての用途の制限など法と制度の掌握
・ 現況把握のための劣化調査と改修工事
・ 運営母体、運営方法
・ 費用の捻出方法など
これらを時間をかけてじっくりと取り組む姿勢が大事になっている。
とのことでした。
私も提案がいかなるプランであれ、実現にむけて検討するのに一定の時間は必要と思っていましたので、その時間をどう作るかも今後の大きな課題になるでしょう。
いずれにせよ北海製罐ホールディングが示した期限は9月ですから、提案を受けて市が早急に決断をして北海製罐側に返事をすることになります。その時間も含んで市が検討することになりますね。
第2部はパネラーとの意見交換です。
・これまでお寄せいただいたご意見紹介
代表的な意見をいくつか抜粋であげられていました。
・歴史的建造物がたくさんあるのに、それらを紹介したりする場所がない。そのような紹介ができる資料館としては。
・運河保存運動の記録を残せるような「小樽運河ミュージアム」。
・小樽を含む北後志の魅力、美味しいものがそろう「後志館」のような場所。
・小樽を舞台にした映画や小説、小樽のアーティストの絵や作品を紹介・展示するスペース。現在活動している作家の表現の場にもなればよい。
・オシャレなレストラン、カフェなど。
・市民が気軽に使える多目的ホール。文化拠点となってほしい。
・運河クルーズ船の船着き場など、海とリンクした活用。
・その後の運営のためにも、公的な事務所が入るといいのでは。
他、多数のご意見が示されていました。
パネラーのみなさん。若いみなさん中心で頼もしく感じます。
会場の方々との意見交換で登壇者(パネラー)は第3倉庫活用ミーティングメンバーから
駒木定正氏 北海道職業能力開発大学校 特別顧問
白鳥陽子氏 うんがぷらす(株)取締役プロデューサー
福島慶介氏 小樽商工会議所 みなと観光プロジェクトメンバー 福島工務店社長
峰尾光人氏 第3倉庫の次世代活用を考える若者ネットワーク Non-, 代表
4人のみなさんのオープニングトークでおっしゃっていたことは
・ 札幌にはない、小樽独特、唯一の魅力を生かしていくべき
・ 文化と経済の両輪で進む小樽、その中でこの保存活用が事業収支的に、採算ベースでどう成り立たせるか
・ 今回は若い世代も注目してる。若者の視点をどう取り入れていけるか
等が示されていたと思います。
また、参加者からは
・ まず保存が大事。市に寄贈してもらい、その上で検討を。
それに対し駒木先生からは「寄贈はあり得る。その後の維持費を市が出資するとすれば市民のみなさんの声は大きな力になる。」
・ 観光活用の話がパネラーからあまりでなかったが。
白鳥氏「小樽市民や近郊をターゲットにすること(リピーターづくり)で自ずとそれ以外にも広がっていく。」
福島氏「まず市民が活動することで魅力的文化が育ち、それを見に来る客ができる。市民が主役の観光。」
駒木氏「文化財として捉えるのか、使うために保存するのか その加減が難しいところ。」
・ ニセコ町民だがこういうことは経験上、20〜30歳代に任せるべき。40歳以上はそのサポートに回るべき。
峰尾氏「寄せ書きプロジェクトや、第3倉庫の未来地図などの取組で若い世代の声をくみ上げてきた。歴史文化を生かした経済の営みにつなげていきたい。」
峰尾さんが中心ですすめられた寄せ書きプロジェクトの内容。
などの意見交換がありました。
最後に駒木座長からまだ提案はまとめていないので今回の意見も生かして、まとめていきたい。とのお話しがあり、なかなかの盛り上がりの中、今回は終了しました。
今後について私見
小樽市民だけでなく、市外からの参加者もいらっしゃり、積極的にご意見を述べておられた様子から広く相当の関心を持っていただいていることがわかりました。今後もこうしたみなさんと、例えば今回触れられなかった文学や美術との関わりについてなど、見聞を深めることでこの建物のさらなる価値を市民と共有でき、保存活用の道につながっていくことと思います。
また、議会の一般質問でも述べましたが、若い世代のこの問題での活動をしっかり支えていく事なども限られた時間の中ですが、今後に期待し、私からもさらに提言していきたいと思います。
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