第4回定例会報告 ― 2018/12/23 16:32
第4回定例会での質問について
12月4日に始まった小樽市議会第4回定例会が予定通り12月26日に閉会しようとしています。
議会に対して施策への理解を求める迫市長の真摯な姿勢はこのあと記す答弁を読んでいただけるとよくわかると思います。
さらに小山副市長を選任したことで、市の議会対応に安定感が増したことにより、議会での論議がより充実したものになっていると感じているところです。何より政策に関する論議に集中できることが私にとって何よりうれしいことです。
とはいえ、今後も市政に対して指摘すべき点はきちんと指摘をしていくつもりです。
森井前市政の残した傷跡の修復にはまだ時間がかかりそうだということが判明した議会ですが、しっかりと対応していきます。
一般質問とその後の予算特別委員会で主に小樽市の歴史文化行政について質問しました。主な質問内容は以下の通りです。
・ 日本遺産について
・旧日本郵船(株)小樽支店の修理工事に関わって
・ 色内地区を中心に残る旧銀行街の建物群の保存について
・ 歴史的景観地区の屋外広告物掲示等の違反について
・ 小樽市史編さんの凍結について
これらの質問意図は
小樽市、市民にとって小樽に残る歴史的遺産(有名な歴史的建造物をはじめ、様々なものが含まれます。)は観光客のためだけにあるのではなく、まちのアイデンティティー(このまちがこのまちであることを証明するもの)市民の愛着、誇りの源であることから、これらをしっかりと保存し、未来へと継承すること。また、ただ残すだけでなく、これらを活用し、市の経済等にも良い影響を与え、まちの活気につなげることが大事。
この前提を確認した上で、残して活用すべきそれら遺産群が危機にあることを指摘して、改善を求めたのが大きな質問の狙いです。特に、その方策として国の補助制度を活用すべき、というのが質問の柱になっています。
迫市長が選挙時に示された、国の補助金交付金等を職員の発想、工夫で有効活用して財政負担を減らすというお考えにも合致しますので。
また、個人的にショックだったのは、かねてより提案し、市も進めていた日本遺産の認定の申請が1年先延ばしになってしまったことです。ラスト1回のチャンスにかける非常に難しいことになりました。最善を尽くすことをお願いするしかありませんでした。
以下、質問概要とその答弁、結果をまとめました。
1.日本遺産について
質問小樽単独の日本遺産認定申請についての進捗状況と今後について、どうなっているのか
答弁小樽単独の日本遺産認定申請について、今年度と来年度の2回行うとのことだったが、今年度の申請はもう間に合わない。理由は北前船の追加認定を機に関連事業が集中し、地域型の申請に向けた作業が当初の予定どおりに進められなかったから。大変申し訳ない。来年度1回に最善を尽くす。
質問今年度この申請ができなくなったことに、7月から8月にかけての森井前市長の辞職、市長選があったということは影響していないのか。
答弁7月、8月という二月間は、市長も副市長も不在の時期だった。この日本遺産の取組だけではなくて、いろんな問題がこの二月間に停滞していたと感じている。やはり、この日本遺産の申請に遅れが生じたということには、どの程度かは分からないが、前市長の辞職というのは影響があったのではないか。
質問仕事が多すぎて現在の人員配置では足りないからではないか。人員配置増を。
答弁今後、配置増を検討し、認定を受けられるよう最善を尽くしていく。
2.旧日本郵船(株)小樽支店の修理工事に関わって
質問
近代建築物の修理はいまだ、技術的に確立していないことを文化庁も認めています。今後、重要文化財などの有形文化財の修理工事において工事の内容と活用を検討する専門家や市民による委員会の設置を求めます。
答弁
他都市における先進事例を研究しながら、今後、設置する方向で検討してまいりたい。
現在修復工事に入って閉館中の旧日本郵船(株)小樽支店
3.色内地区を中心に残る旧銀行街の建物群の保存について
質問
色内地区等の歴史的建築物について、創建から60年以上経過し、鉄筋コンクリート造の建物は耐用年数と今後の維持に課題があると指摘されている。危機感、問題意識を市全体で共有し、対策を立てる必要があると考えるがどうか。
答弁
本市に残る歴史的建造物群の価値、現状について、明治期以降の建造物の改修事例は全国的にも少なく、創建時から相当年数が経過している、建築材料の経年劣化に対する補修技術は確立されていないことから、保存には、課題があるものと認識している。
旧手宮線機関庫も国指定重要文化財です。
質問
そこで、市の現状として財政も大変厳しい中で保存活用を進めるため、また、歴史文化基本構想の具体化を図るためには、日本銀行旧小樽支店と旧三井銀行小樽支店について国指定重要文化財の指定や伝統的建造物群保存地区といった国の制度を活用すべきです。その考え方について、見解を。
教育長答弁
建物の所有者や地域住民の意向を確認すること。市の関係計画、条例との調整が必要なので市長部局と協議する。
耐用年数のある建物群ですし、地震津波等も心配されます。国の指定を受けていると万一の際も迅速に対応してくれます。いち早い市の判断を望みます。
質問
国の制度を活用するのには様々な課題があることはわかった。その課題を列挙、公開してほしい。それらについて市と市民団体が共有することで解決していきたい。との質問に
生涯学習課長答弁
関係部局と協議、課題はまとめていく。市民への公表は内容を見定めて公表について前向きに検討していきます。
4.歴史的景観地区の屋外広告物掲示等の違反について
本市が定める景観条例、屋外広告物規制条例は全国でも先進的でトップランナー的とりくみでした。ところが現在は他の地域に周回遅れの印象です。
視察で訪れた倉敷美観地区。派手な看板は皆無です。
質問
市は道から一部権限移譲を受け、「市屋外広告物条例」を定めている。「小樽歴史景観区域」内では、広告物又は掲出物件について相当厳しい規制をかけているが、状況は歴史的情緒からほど遠い派手な色彩の看板広告物にあふれている。市として、現状の認識と対策について示せ。
答弁
「小樽歴史景観区域」内における屋外広告物の現状については、市では、現地調査を行い、実態把握に努めておりますが、一部の地区において、のぼりや看板等の色彩や大きさ、設置場所等について、地区基準にそぐわないものがあると認識しています。
一定規模以上の屋外広告物を設置しようとする場合は、許可申請を受け付け、審査の上、基準に適合しているものについて許可を行っていますが、許可を受けずに掲出されることがあるため、屋外広告物のルールについての周知用チラシを作成し、配付したほか、広報おたるや市ホームページにおいても周知しておりますが、十分ではないと認識しています。
質問
対策として、地域でイベント等の取組をがんばっているところもある。その力を活かし、条例を遵守している店舗、地域を表彰するなどの方法も考えられるのではないか。
答弁
市が地域や商店街に対し、条例の趣旨について説明する機会を設けるとともに、街並みに配慮した店舗等の表彰を行うほか、事業者等が自ら地域の望ましい景観づくりを考えるような働き掛けを行ってまいりたい。
質問
この問題は、市景観審議会で市から提起して話し合っていただくべきと思うがどうか。
答弁
審議会からも現状懸念があり、議論してはどうかとの指摘がありました。今後、景観審議会に実態把握、対策等のご意見をいただきたいと考えている。それを受けて市も対応策を検討していきたいい。
5.小樽市史編さんの凍結について
小樽市の広範な分野の歴史をまとめた「小樽市史」最新刊は第10巻が平成12年2月発行。その市史編さん事業が凍結されているとのこと。
「小樽市史」は、歴史文化構想、日本遺産の延長上に目指すべき「本丸」の一つで、歴史文化政策の根幹をなすものです。これを安易に中断することはその歴史認識、文化度の低さを露呈することにもなってしまいます。
質問
その編纂事業がいつ、なぜ凍結されることになったのか。その経緯をご説明ください。
答弁
平成30年度予算編成の検討過程において、本市の財政状況が厳しさを増す中、市史編さんに係る経費と人員配置の問題から、事業の実施は極めて困難であると判断したものです。
質問
2022年は市制施行100周年。この次号発行を記念事業とすることも考えられます。是非、編さん作業の一刻も早い再開を求めます
答弁
本市の財政状況が、更に厳しさを増している現時点においては、再開は難しいものと判断していますが、市制施行100周年に当たっては、記念事業の一環として、記念誌等の作成は必要であると考えており、今後、具体的に検討していきたい。
質問
市史編さん事業の意義からいけば、これはお金には代えられない事業なのではないか。
昭和60年以降記録の蓄積も無いままだったということだが、大変なことだ。記録をきちんと集積しておく活動は続けておくべきなのではないか。
答弁
御指摘のとおり。記録を蓄積していくことは、必要な作業。刊行は別にして、着実に進めていかなければならない。
6. 歴史文化行政に関わる組織改革の必要性について
質問
歴史文化事業推進のためには、現状の庁内組織では無理がある。組織機構見直しや柔軟な人員配置をお願いしたいがいかがか。
答弁
組織改革の必要性については、私も、歴史文化や景観などの施策を進める上で、現在の組織機構や人員配置の見直しの必要性を感じていました。今後、具体的な内容や時期については、検討していきたい。
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