「学校のアスベスト問題」学習会2017/01/14 20:19

緊急学習会「学校アスベスト」とは何か

 中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会北海道支部と北海道アスベスト被害者支援弁護団が主催する学習会『「学校アスベスト」とは何か』を聞かせてもらいに札幌市教育文化会館まで行ってきました。

 内容はアスベストについての基本的知識とその健康被害、救済方法についてのDVD映像上映、基調講演「学校アスベスト問題—学校にひそむアスベスト」と題して中皮腫・じん肺・アスベストセンター事務局長 永倉冬史氏がお話をされました。

  永倉さんです。以前紹介したお店「ワオキツネザル」の神さんをご存じでした。環境問題での関わりだそうです。


 私はこれまで市議会の中で小樽市内の学校に残るアスベストについてや民間建物解体時のアスベスト除去工事についてなど質問をしてきています。その中での答弁でも決して子どもたちや市民の安全がきちんと保障されている現状にないことが判っています。

 また、昨年からは札幌市での学校や公共施設でのボイラーや煙突などにアスベストが残っていて、それが老朽化によりはく離、空中飛散していることや行政の対応に不備があったことなどが問題となり、小樽市でも水道局の施設などに未だにアスベストが残っていると報告されました。


 ところが、なぜか報道では結果として学校給食が作れず、子どもたちの昼食に温食がつかないことばかりがクローズアップされ、アスベストの本質的な危険性(潜伏期が20年〜40ねんに及ぶ発ガン性物質であること)などが軽視されてしまったことが問題だと私も心配していました。

 同じ思いでこのような緊急の学習会がもたれたのだそうです。お話の中で特徴的なこと、印象に残ること、特記しておくべきことをまとめると


  アスベスト(石綿)は火に強く、様々な形に変えて使える、安い「夢の材料」として大量に輸入されて生活の隅々で使われていた。

  ところが中皮腫、肺がん、アスベスト肺(じん肺)などの原因になることが判り、徐々に使用禁止となる。以後、潜伏期の長さから「静かな時限爆弾」と呼ばれる。

  アスベスト繊維の細かさは花粉の1000分の1。普通のマスクでは防げない。

  しかし、2010年〜14年の中皮腫による死亡数は6653人。2014年度の中皮腫とアスベストによる肺がん死亡者推定数は合計4128人。同じ年の交通事故による死亡者数が4113人。ほぼ同数になっている。

  さらに、予測では2030年まで増え続ける。(潜伏期間の長さなどにより)

  アスベストは現在も至る所に残っている。1990年以前の建物は殆どある。エレベーター機械室、ポンプ室は特に要注意。

  学校でも防音・防火のためなどで天井等に大量に使われていた。生徒はその天井をモップでつついたり、紙飛行機やボールをぶつけて遊んでいた。(私も教員時代そんなことがあったと記憶しています。今考えると恐ろしいことです。)

  20年後に学校由来の中皮腫等が顕在化する恐れがある。

  現在、アスベストの濃度測定を行っているが、静穏時にやるのと実際子どもたちの活動中とでは違ってくるので参考にならない。

  用務員さんたち現場で直接携わる人たちは非常に気になっている。きちんとした説明会等が必要。

・ 除去工事等を行う業者や関わる行政もアスベスト対策について 劣化している。きちんとした事前調査、適した工事ができなくなっている。

・ 国土交通省の「建築物石綿含有建材調査者制度」を活用し、きちんとした知識と経験を持った専門家の育成が望まれる。

  大震災時は倒壊した建物から大量のアスベスト粉塵が排出されるが、それどころではなくなっているし、発がん物質にさらされている事実さえわからない状態。しかし、主催者団体は対応するマスクを配布するなどの活動などを進めてきているとのこと。

などです。

  「静かな時限爆弾」と呼ばれる理由を説明中。


最後に、私も質問させてもらいました。

「小樽市内の小中学校には現在も天井のアスベストを除去せずにビニール等で覆っただけの“囲い込み工事”で済ませている状況だが大丈夫なのか。大地震等の際などが心配。」

講師の永倉冬史氏の回答は「小樽については過去に総合体育館の点上のアスベストが剥落したときに調査に行っている。学校の状況は決して安全ではない。国の認める“囲い込み”では信用できない。現状について専門家の調査が必要。」とのことでした。今後も引き続き、除去等の工事によりきちんとした安全策をとるように求めていく必要性を改めて感じました。