委員会報告 教育職員の変形労働時間制について2021/01/09 10:16

 小中学校の先生方の労働環境が大変きつい状況にあることがようやく広く認知されるようになってきました。「先生方が夏休み冬休みがあっていいねえ。」とよく言われていましたが、今は昔というか、昔も実は学期中に溜まった仕事を片付けるとか部活とかで休み中も忙しく仕事をしていたのが実態です。(自分の経験上)

このままでは現職の先生方の健康悪化や今後の教員の成り手不足が深刻になり、結果として先生の質の低下も心配されることからようやく国においても法律上の対策に動き出しました。

しかし、できた法律が本当に多忙化解消に役に立つのか疑問が出ましたし、市でも実施にあたっては準備が必要なため、小樽市教育委員会がこの国や道の法律改正を受けてどういう対応をするのかを総務常任委員会で確認しました。以下のやりとりをお読みいただけると法律改正の内容や課題、市教委の対応がわかると思います。


委員会での質問の様子を講演会の方に撮ってもらいました


質問

 国及び道の法律条例改正について主な内容について説明ください。

教育総務課長答弁

 教員が休日をまとめ取りできる1年単位の変形労働時間制、これは1か月を超えて1年以内の期間を平均して1週間あたりの正規の勤務時間が38時間45分となることなどを条件として、業務の状況に応じて勤務時間を配分し、長期休業期間中に休日を集中して確保できるようにするものです。

 

質問

 改正の経緯、目的は

教育総務課長答弁

 現在学校における働き方改革がいろんなところですすんでいますが、これを総合的に進める一つの選択肢として示された制度です。目的としては長期休業期間中に休日を集中して確保することにより、教員のリフレッシュの時間等を確保して、ひいては児童生徒等に対して効果的な教育活動を行うことに資することを目的としています。

 

質問

 道教委は条例改正の理由として、各道立学校及び市町村教育委員会あてに移行調査を実施した結果をうけてとのこと。調査では8割が導入を検討したいという意向を示したとのことだが、小樽市教育委員会は主な質問にどのように回答したのか。

教育総務課長答弁

 意向調査については導入時期についての質問でして、小樽市教委としましては令和3年度の導入は難しいが今後の導入を検討したいというふうに回答しています。

 

質問

 導入ありきということでの調査だったようですね。回答するにあたっての根拠は。教職員の意向は聞いたのか。また、その際本制度内容はきちんと説明されたのか。 

教育総務課長答弁

 根拠については、教員は平成30年度の途中から、徐々に出退勤の時間の客観的な記録を始めたところで、勤務時間の実態を把握するのにはまだなお時間を要するということから、制度導入には時間が必要と判断しました。

また、今回の調査に教員の意向は確認をしていません。それから、この制度の教職員への周知については、国や道からの通知それから文部科学省が作成したこの制度の、説明動画のオンデマンド配信、導入の手引きパンフレット等を随時学校に通知して適切に周知を図っているところです。

 

答弁側には総務部、教育委員会が控えています。普段は他の関係部課もいますが、コロナ対策で最小限に限っての出席です。


質問

 導入の判断は各市町村教育委員会や学校の判断とのことだが、市教委として1年単位の変形労働時間制を導入する考えはあるか。

総務課長答弁

 北海道の条例につきましては1211日に改正が議決されたばかりですし、本市の教員の勤務時間、実態等を十分把握したうえで導入に向けて検討していきたいと考えています。

 

質問

 1年単位の変形労働時間制は、実効性のある超勤解消策だと考えているか。

教育総務課長答弁

 国などの通知によれば、この休日のまとめ取りのための1年単位の変形労働時間制の活用は、これを単に導入することが日々の教員の業務や勤務時間を縮減するものではなく、さまざまな取り組みと組み合わせることによって実現可能であるというふうに示されています。

 

質問

 導入の前提は超勤の月上限45時間を下回っていること。持ち帰り業務を含めた超勤時間の把握は出来ているのか。

教育総務課長答弁

 持ち帰り業務については、これを行わないことが原則でして、持ち帰り業務がある場合はその縮減に努めるよう、各校長に指導していきたい。

 

質問

 結果として現在上限45時間は順守されていると考えるか。市教委の見解は。

教育総務課長答

 弁令和元年度の教員のいわゆる時間外の状況は、市教委の規則で定める在校等時間の上限は年間360時間、これを超えた教職員は全体で約4割、それから月45時間前という条件も定めていますがこれを一度でも超えた、教職員というのはやはり4割を超えていまして、実態とては遵守されていないという状況です。

 

質問

 とにかく業務削減が絶対条件。実効性ある具体的な業務削減を示さなければ上限順守は不可能だと思うが、お考えをお聞かせください。

教育総務課長答弁

 現在、市教委では退勤時間の教員の記録によって、教員の超過時間を適切に把握することをはじめ、教員の負担軽減のためにスクールサポートスタッフ、部活動指導員の導入、電話での学校への電話の問い合わせで時間外であることをアナウンスする転送電話の仕組み等の取組を行っています。

また研修についても、昨今内容について精査して適正化を図っているところです。部活動についても、国や道のガイドラインに基づいて市のガイドラインも作成して部活動休養日も含めてその順守を指導しているところです。

 

質問

 心配しているのはこの制度導入が本来の目的が「教育職員の超勤、多忙化解消」であるのに週45時間以上超勤した上に長期休業中にまとめ取りしようとしても業務があふれ結局出勤せざるを得ない、という実質上「超勤週45時間合法化」「勤務条件改悪」になりはしないか、ということ。

この法律改正附帯決議が12本。その中に「教育職員がその上限時間まで勤務することを推奨するものでないこと」について見解を。

教育総務課長答弁

 今、議員がお示しいただきました附帯決議ついてですが、こちらも国の定めた指針に盛り込まれていて、この制度を導入する際に指針に基づいて適切にすすめいきたい。


質問

 同じく「上限時間を守らせるために、自宅等における持ち帰り業務時間が増加することがあってはならないこと。」「教育委員会、校長に対して、持ち帰り業務縮減のための実態把握に努めること。」とあります。これらについて見解を。

教育総務課長答弁

 こちらの附帯決議についても、この指針に基づいて適切に進めていきたい。

 

質問

 1年単位の変形労働時間制を導入する場合は、市教育規則改正が必要となる、その際には改正する前に現場の先生方との話合いのうえで進めるべきだがいかがか

教育総務課長答弁

 国の通知等によれば、この1年単位の変形労働時間制というのは勤務条件であることから導入に当たっては教育職員との話し合いを行っていきたい。

 

質問

 1年単位の変形労働時間制を導入する場合、教育職員の事情をよくくみ取り、対象者ひとりひとりが個人の意思で本制度を採用する、しないを決定することが重要だと考えるが、いかがか。強制等がないようにお願いします。

教育総務課長答弁

 国の通知等によれば、この制度は校長が各教育職員と対話を行い、例えば育児や介護を行う者等については配慮するなど個々の事情を的確に対象者の決定を行うものであり、全ての教育職員に画一的に適用するものではないものと考えています。

 

最後に

まずは今年度の拙速な導入はしないとのことですので、混乱も避けられそうです。根本的には教育職員の定数を増やすこと。事務作業量を減らすことを勧めなければ解決はしません。そのことが結局子供と向き合う時間を増やし教育の質を向上させることに繋がります。

それにしてもこうやって質問しましたがこの改正法等を読めば読むほど、先生方はもちろん管理職の先生方、特に教頭先生は相当仕事が増えて大変になるんじゃないかと。今でも教頭先生は朝から晩まで相当遅くまで仕事されている。その辺の負担が集中するということがないように教育委員会の方からもサポートをよろしくお願いしました。



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