日本遺産シンポジウム開催2017/08/19 22:32

日本遺産シンポジウム開催

 

 小樽市が認定を目指す文化庁の「日本遺産」事業について、市民向けのシンポジウムが経済センター7階で開かれました。

 たくさんの市民が集まり、興味深く聞いていました。


 かねてより日本遺産認定を目指すよう議会からはたらきかけていた私も、大いに興味を持って参加させてもらいました。 

 現在、小樽市はこれまで教育委員会が文化財との関わりから認定に向けてのとりくみを行っていましたが、文化財活用の観点から観光を担う産業港湾部に日本遺産専門の担当を置いて進める体制に改められました。その最初の具体的なとりくみになるのが今回のシンポです。


 これまでに小樽市は複数自治体が共同で認定を受ける「シリアル型」では、今年認定を受けた酒田市などが中心の「北前船」の追加認定を目指すことを表明していますし、空知地域がすすめる「炭 鉄 港」(石炭 鉄道・鉄生産 港湾をむすんだ歴史ストーリー)にも積極的に関わることとしています。一方、小樽市単独で認定を目指す「地域型」もその認定条件である「歴史文化基本構想」を策定中で、これと同時にストーリー作りも進めていかなければ2020年のタイムリミットに間に合わない状況にあります。

 

 私が今回のたくさんの有益なお話の中で、もっとも印象に残ったのは、パネラーの皆さんがおっしゃっていた「単に歴史文化遺産を観光資源として活用するのではなく、地域住民がこのまちに住むことに誇りを持てる「市民プライド」を市民自身が生みだし、将来の「まちづくり」「地域づくり」の将来像につながっていくことの重要性についてでした。

 また、そういう市民が支えるしくみがなければ、日本遺産認定を持続していくことも難しいというお話もありました。その意味で今回のシンポジウムに大勢の市民の皆さんが参加されたことには意義があったと思います。

 

 丁野先生の具体的お話は今後の指針となります。


 さて具体的なシンポの中身についてもう少し。

 森井市長の主催者挨拶に続いて、第1部は日本遺産認定の審査委員会委員を務める東洋大客員教授の丁野朗(ちょうの あきら)先生の基調講演でした。丁野先生のお話はさすがに審査員をやられているだけに具体的に認定を受けるためのノウハウや、全国の認定事例、北海道でのストーリー作りについてなどを具体的にお話しされていました。

 未来につながるストーリーづくり(ビジョン)、過去から未来へのつながり、次代への継承と広域連携事業の重要性になどがポイントと感じました。

 

 続いて2部はパネルディスカッション。パネラーは1部の丁野先生、小樽の歴史的建造物の第一人者駒木定正先生、歴史文化基本構想調査部会長を務める小樽商大の高野宏康先生、「炭鉄港」を進めるNPO法人炭鉱の記憶推進事業団理事長吉岡宏高氏、9月1日グランドオープンを迎える小樽芸術村学芸部の渡邉洋子氏のすばらしい顔ぶれ。コーディネーターは総合博物館石川直章館長です。

 最初はメンバーの自己紹介を兼ねて、自分の専門外で小樽の資産だと思うものを上げてくださいとの振りに、「あまとうのエクレア、亀十のパン」「市民会館ステージ緞帳」「ミルクプラント」等を挙げておられました。私も個人的に亀十の焼きそばパンが大好きですし、市民会館の緞帳の原画は小樽ゆかりの画家、中村善策氏の作品です。「ミルクプラント」の建物は過去に小樽で開かれた「北海道博覧会」の時に建てられたと石川館長から説明がありました。


          吉岡先生「「炭鉄港」に小樽は不可欠。是非一緒に!」

 

 その後の話で印象的な部分を挙げます。

  高野先生から、北前船と小樽との関連性について。総合博物館運河館の展示は幌に触れるなど一級品であることや、追加認定について28自治体が目指していて、厳しい展開が予想されること。その中で、追加には共通性と小樽独自の特徴が必要で、運河石造倉庫群が北前船船主たちの新しいビジネスモデルだったことがそれにあたるとのことでした。


 駒木先生の博識ぶりにはいつも驚かされます。


  駒木先生からは、小樽らしさのポイントとして、

 市民と行政が協力して運河を活用している事。

 色内の類例なき建築群と街並みについて、明治、大正、昭和の建造物がそろって残っているのは日本でここだけ、まさに建物博物館であること。

  丁野先生から、認定を受けるのにはテクニックがあるということ

 短いキャッチフレーズ、タイトルと10秒フレーズともう少し長い解説の3点セットが重要。これらから地域史がイメージとして浮かぶことが大事だそうです。

これについては私が以前から議会で市に訴えてきたことだったので、我が意を得たりという感じでした。

 

 等々、その他にも炭鉄港やニトリの社会貢献の話など。挙げればきりのないほどポイントになるお話がありました。


 次回以降も市民向け周知啓蒙事業が持たれると思いますが、もっともっと市民のみなさんの中に広がりが出てくると良いですね。



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