小樽の文化系の話題 2件2017/04/29 14:15

小樽の文化系の話題 2件

①日本遺産認定 道内から江差、函館、松前

今朝の新聞報道で、文化庁が2017年度の「日本遺産」に23道府県の17件を認定し、その中に、これまで認定の亡かった北海道で江差町が地域型(単独自治体)で、函館市、松前町がシリアル型(複数自治体合同で)初めて認定されたそうです。43都道府県から計79件の申請があった中からですので、かなり厳しい門をくぐったことになります。小樽市も現在日本遺産認定をめざしてがんばっている最中ですから、うらやましいような、ちょっぴり悔しいような気分です。


 一方、現在、小樽市での話としては、今回認定された『北前船』について追加認定を受けることや、石炭や鉄道、鉄生産にからんだ「炭鉄港」について複数自治体で認定をめざすということがでていますが、私としてはこの方式(シリアル型)をめざすにしても小樽市が受け身ではなく、主体的に関わっていくことが大事ですし、同時に、やはり小樽市が最初に示した通り、まちづくりや市民の意識に訴えるという意義を考えるのであれば、やはり小樽市単独での認定もめざすべきと考えます。

 いずれにしても、2020年までというタイムリミットと、100件中54けんがすでに決定という数的リミットがある中ですが、手遅れにならないように、これから先行自治体の成功例をよく研究させてもらい、小樽市の認定の結びつける必要があります。


 

②小樽ゆかりの画家『大月源二』展始まる。

   オープニングで恒例テープカットの様子。


 市立小樽美術館で今日から特別展『大月源二 新たなリアリズムを求めて』が始まりました。私もオープニングに参加させてもらいました。

 息子さんの耕平氏。展示作品に耕平氏がモデルの絵もあります。


 来賓として大月源二の息子さん耕平氏や作品の研究をされている上野武治北大名誉教授がいらしていました。上野先生は大月画伯の代表作で今回展覧会のポスターにもなっている「走る男」の研究を続けてこられ、挨拶の中やその後の展覧会場でも解説くださいました。

 私にとって非常に興味深かったのは大月源二が戦前に小林多喜二と共に治安維持法で思想弾圧を受け、拘留服役しているという事実でした。代表作「走る男」はそうした過酷な経験の中から生まれた作品だそうです。上野先生のお話では作中の力強く腕を振って走る若者は獄中死した盟友小林多喜二をモデルにした鎮魂の意味が込められているとののことでした。

      玄関掲示のポスター『走る男』


 作中の大きなひまわりの葉が上向きなのは蓮の葉を表しているそうですし、奥に小さく見える塔は拘留されていた刑務所に実際にあった時計塔だと説明いただきました。

絵画の中で象徴や寓意表現がよくヨーロッパ絵画では使われますが、仮釈放中の大月源二ができうる限りの表現をなそうとしている苦闘の跡を感じました。

 折も折、現在国会では「共謀罪」の審議が始まっています。「テロ塔準備罪」というレッテルを貼ってごまかそうとしていますが、実質は大月源二や小林多喜二を弾圧獄死させた戦前の「治安維持法」と全く同じものです。時を同じくして「走る男」が小樽で展示されることになったのには理由があると勝手に私は決め込んで「共謀罪」成立に反対していこうと改めて思いました。 


 そうそう、そんな厳しい背景の絵ばかりではありません。古平大江村などの農村で働く人や冬の札幌駅、白菜やカボチャ、花を描いた小品など身近な作品もたくさんあります。戦後の後志小樽の一時代を感じることのできる展覧会でもあります。皆さん足を運んだいただければと、お誘いいたします。



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