原発のコスト安いの?2016/03/07 12:46

福島第1原発事故から5年を迎えるのを前に、市民団体「泊原発の廃炉をめざす会」が立命館大の大島堅一教授を招いて講演会を開きました。

大島先生は経済学の立場から「原発のコスト」についてこれまで、様々なご提言や著書を出されている方です。私もその本で勉強していましたので、これは是非とも直接お話を伺いたいと楽しみにしていました。同じ思いで集まった聴衆が200人以上いました。

 

 前段のクロストークとして、岩内町議の佐藤英行氏から泊町長選の報告や、弁護士の難波徹基氏から電力自由化を機にエネルギー消費について無駄を省くことが先。自治体でもそのための実証実験を始めている、等のお話がありました。

 

 大島先生からは川内原発を皮切りに再稼働が進んでいる現状となぜ再稼働させるのか。その理由が正しいのか。根拠はあるのか。というお話です。

原発再稼働の理由は

・原発のコストが他の発電より安いから

・再稼働させないと経済がダメになる。

・化石燃料輸入量増で経済がダメになる。

・貿易赤字増で経済がダメになる。

・電気料金値上りで経済がダメになる。

・温室効果ガス増で環境がダメになる。  

などがあげられていますが、一つずつ理由と根拠を上げて論破していきます。

 

 その中でも特に「原発のコストは安い」について、ホントウなのか。という点について

大島先生は、「原発安価神話」は作られたもの。確かに燃料費は安いが、建設費は一番高い。さらにコストの中に福島事故解決のための費用、13.3兆円が入っていないこと、それを計算に入れるとコストは一気に跳ね上がることを指摘されています。日本の国税収入は約40兆円、その3分の1にあたる額がコスト計算に入れないで安いというのは変な話です。

 さらに、ほかにも安い理由は、使用済み核燃料処処分理費用なども電力会社や国が払うのではなく、電気料金に含まれて最終的に国民がすべて払う仕組みになっている。要するに原発費用を国民がすべて払っているから安い、ということなのです。

 最後のお話は電気料金の話。

電気料金は確かに再稼働が進むと安くなるそうです。しかし、原発を0にしても同じくらい安くなる。なぜなら原発を維持するのにかかる莫大な費用がかからなくなるから。 最終的にどちらを選ぶのかは国民ですが、国民は各種アンケートでも原発は将来的にもういらないと結論は出ていると判断されるべきとのこと。

 原発維持費は止まっていてもかかり続けています。

将来の子どもたち子孫にツケを押し付けない未来像から判断していくべきですね。

本当に考えさせられることの多い内容でした。電力の自由化もただ安ければよい、というのではなく、こうしたお話を下敷きに考えていくべき、と実感しました。




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